てんかんで障害基礎年金1級に認められたケース
相談時の状況
ご本人からお電話でご相談いただき、後日無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
この方は幼稚園に上がる前からてんかん発作がでるようになり、よく意識を喪失して倒れておられたそうです。しかし小学校へ上る前に何度か入院し、薬を調整してもらったところ発作は出なくなりました。その後も投薬治療を継続することで、成人してからも発作は殆ど出ていなかったそうです。
ところが40代後半になった頃から再び発作が出るようになり、突然倒れてケガをすることが増えたそうです。そのことを職場に伝えるとフルタイム勤務は危険だと判断され、パート勤務の障害者雇用に変更されてしまいました。収入も半分くらいに減ってしまい、経済的に困窮して当事務所へご相談いただきました。
発作が頻発するようになったのは2年前からで、多いときは月に数回も出ているようでした。外出中に意識を失って救急搬送されたことも何度かあり、常に誰かがそばにいなければならない状況でした。
発作のタイプや頻度は障害等級1級相当でしたが、医師に診断書を正しくお書きいただけるかどうかがポイントでした。
受任してから申請までに行ったこと
まずご本人から主治医へ障害年金を申請したい旨を相談してもらうと、快くお引き受けいただけるとの回答が得られました。しかしその医師は、今までにてんかんで障害年金の診断書を書かれたことが何度かあるようでしたが、不支給になってしまうことが多かったようです。おそらく今までの診断書の書き方に問題があったと思われます。
実はてんかんでの障害年金申請は、制度上の問題が存在するため注意が必要です。
てんかんで申請する場合も、うつ病などと同じ精神疾患用の診断書用紙を使用しなければなりません。そのためうつ病と同じように、食事・清潔保持・金銭管理などが正常に行えるかどうかで障害状態を判断されてしまう傾向があります。
てんかんの方は発作が起こると何もできない状態となりますが、発作間欠時は健康な人と変わりませんので、普通に医師へ診断書の作成を依頼すると日常生活に関する項目を軽く書かれます。すると、日常生活に支障が無いと判断されて不支給とされてしまうのです。
てんかんで適切な内容の診断書をお書きいただくための、詳細な参考資料を作成いたしました。ご本人から医師へお渡しいただいたところ、後日医師から内容についての説明を求められましたので、ご本人と一緒に伺い、細かくご説明差し上げました。
結果
無事、障害基礎年金1級に認められました。
障害年金制度は非常に複雑ですのでどのような病気でも細心の注意が必要なのですが、てんかんは制度上の問題も存在するため、特に注意が必要です。発作のタイプや頻度が障害認定基準をクリアーしていても、医師の診断書の書き方一つで簡単に不支給とされてしまいます。
医師にてんかんで診断書を作成してもらう際は細かい説明が不可欠ですので、てんかんでの申請経験が豊富な専門家のサポートを受けられることをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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