肝硬変で社会的治癒が認められ障害厚生年金2級に決定したケース(事例№7542)
相談時の状況
非代償性肝硬変を患っておられる60代の男性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は子供の頃、血液型を調べるために検査を受けたところ、B型肝炎キャリアであることが分かったそうです。
その後も問題なく過ごしておられましたが、社会人となってからは、毎年健康診断で指摘されていました。
毎回健康診断で指摘され続けてきたため、50歳になった頃に近くの病院を受診して検査を受けたところ、B型肝炎を発症していることがわかりました。
当初は通院していましたが、自覚症状はなかったため、数か月で止めてしまったそうです。
しかし数年経過すると、浮腫・発熱・下痢・倦怠感・腹水などの症状が出現したため、別の総合病院を受診したところそのまま入院することになりました。
現在は定年退職し、通院しながら自宅で療養されていました。
検査数値を拝見したところ、中等度に該当するほどの状態で、日常生活にも支障がでていましたから2級に該当すると判断しました。
問題は、いつの時点が初診日になるか、ということでした。
障害年金は初診日が起点となり、もらえる年金の種類も、保険料の納付要件も初診日によって決まります。
初診日は、「障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた日」であると定義されています。
最初に指摘を受けた子供の頃が初診ということになれば、20歳前障害として障害基礎年金の対象となり、またすでにカルテが破棄されているであろう頃の初診日を証明しなければならなくなります。
しかし社会保険制度には、社会的治癒という考え方が存在します。
これは、一旦その傷病が治癒(固定)し、その後投薬などの治療を必要とせず、長年に渡って問題なく社会生活を営めた方が再発などで受診した場合に、後のほうの受診を初診として取り扱ってもらえることがある、という法理です。
この方がB型肝炎の指摘を受けたのは小学生の頃でしたが、何の症状もなかったため通院していませんでした。
社会人になってからは毎回健康診断で指摘されるものの受診はせず、50歳で受診するまで長い期間が開いていまいたので、社会的治癒を主張することにしました。
受任してから申請までに行ったこと
50歳の時点で受診された病院へ受診状況等証明書(初診日証明)を作成してもらったところ、以前からB型肝炎キャリアであった旨が記載されていました。
医師に診断書をお書きいただいたところ、元々キャリアであったことは触れられていませんでした。
病歴就労状況等申立書を作成する際は、今までの経緯を説明し、社会的治癒に相当する状況である旨をしっかりと記載しておきました。
結果
無事に50歳時点が初診日と認められ、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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