生来の聴力障害で障害厚生年金1級に認められたケース(事例№6960)
相談時の状況
両耳の聴力を失ってしまった40代男性について、奥様からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は、幼少期に左耳が全く聞こえていないとわかり病院へ行きましたが、改善の見込みはないと言われました。
右耳は問題なかったためその後は普通に過ごされていたのですが、数年前に健康診断で右耳も聴力低下を指摘されました。
耳鼻科を受診しMRI検査を受けたところ、腫瘍による難聴であるとわかりました。
通院して治療を受けましたが状態は悪化するばかりでしたので、今年に入って大きな総合病院を紹介してもらい、1週間ほどの入院検査を受けたところ、入院前は70dhほどだった聴力が、なぜか急激に悪化して退院時には100dhを超えてしまいました。
腫瘍を取り除いても聴力は回復しないと言われましたが、耳鳴りが酷かったため手術は受けたそうです。
両耳とも聴力が100dhを超えていましたので、障害等級1級に該当することは明らかでした。
通常障害年金は初診日の時点で加入していた制度によって、障害基礎年金か障害厚生年金かに分かれます。
幼少期が初診日となれば、20歳前障害として障害基礎年金の対象でした。
しかしこの方の聴力障害は、左と右は別の要因によるものでしたので、初診日は異なると判断し、「はじめて1級」を主張して障害厚生年金の対象にできると考えました。
受任してから申請までに行ったこと
「はじめて1級(2級)」とは、元からあった障害が2級に該当しない程度で、後から発生した障害と合わせて1級(2級)になる場合の請求方法です。
この場合、後の障害で初診日は判断されます。
障害認定基準上、片耳だけが聴力を全く失っている場合は障害手当金程度ですが、両耳が100dh以上の場合は、障害等級1級に該当します。
診断書の医師にお書きいただく際は、障害認定基準や正しい書き方をご理解いただくための参考資料を作成したのですが、念のため、左耳と右耳の障害は関係が無い旨も明記していただくよう資料に記載しておきました。
結果
はじめて1級に認められ、障害厚生年金1級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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