脳脊髄液減少症で20歳まで遡って障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6773)
相談時の状況
脳脊髄液減少症の診断を受けている20代の女性について、お母様からご相談いただきました。
社労士による見解
詳しくお話を伺ったところ、小学6年生の時に行われた運動会の組体操で上段から落下してむち打ち症となり、日を追うごとに首の痛みや吐き気が酷くなっていったそうです。
異常を感じた両親が大きな大学病院へ連れて行ったものの、原因不明と言われました。
その後も様々な医療機関へ連れて行きましたが、症状は改善しなかったそうです。
約7年経過したころ、両親が脳脊髄液減少症を疑い、その病気で有名な他県の病院を受診させてみたところ、ようやく脳脊髄液減少症と診断されました。
現在も症状は改善が見られず、1日中自宅で横になって過ごしているとのことでしたので、障害等級に該当する可能性が高いと判断しました。
以前は、「脳脊髄液減少症、線維筋痛症、化学物質過敏症、慢性疲労症候群」は障害年金が認められにくい傷病とされていましたが、平成24年に明確な審査の基準が設けられてからは、比較的公平な審査が行われるようになりました。
しかし初診日については、今でも注意が必要です。
通常、初診日は診断名が付いた時点ではなく、関係があると思われる症状を初めて医師に診てもらった時点で判断されるのですが、審査機関内の暗黙の了解で、これらの傷病は「診断がついた医療機関を初めて受診した日」が問答無用で初診日とされてきました。
この判断の問題点は、これらの傷病はなかなか診断が付かず、ドクターショッピングを繰り返した末にようやく判明することが多いことにあります。
例えば、会社勤めをしていた時期に発症し、医療機関を受診したとします。
通常はその時点が初診日となり、障害厚生年金の対象と認められるのですが、これらの傷病はなかなか確定診断に至りません。
症状が改善しないため就労の継続が難しくなって退職し、確定診断が付いた時期には国民年金の被保険者となっており、障害厚生年金よりも不利な内容の障害基礎年金が対象とされてしまうことが多いのです。
このことは以前から問題視されていたため、令和元年にようやく、他の障害と同様の判断をするようにとの事務連絡が厚労省から通知されて解決したように見えました。
しかし現実は、事務連絡が出された後も診断が付いた医療機関しか初診として認めてもらえない傾向は続いていいるように感じます。
受任してから申請までに行ったこと
この方は初めて症状を訴えた時点でも確定診断が付いた時点でも、どちらも10代の頃でしたので、どこが初診日と判断されても条件に違いはありませんでした。
そのため、小学6年生時に受診した大学病院に依頼して受診状況等証明書は一応入手しましたが、初診日として主張するのは、審査がスムーズに進められるよう確定診断が付いた時点にしました。
診断書を依頼していただく際は、正しい書き方や審査の基準などを医師に理解していただくための参考資料を作成し、受診時にお渡しいただいたところ、問題のない内容でお書きいただけました。
結果
無事に、20歳まで遡って障害基礎年金2級に認められました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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