ブルガダ症候群で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№6792)
相談時の状況
ブルガダ症候群によりICD植込み術を受けておられる、30代の男性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は10年位前に会社の健康診断で心電図の異常を指摘され、近くの循環器内科を受診されました。
ブルガダ症候群の疑いがあると言われましたが、その時点では大きな問題はないと判断され、通院はしなかったそうです。
その後は毎年のように健康診断で指摘されましたが、自覚症状は何もなく、特に異常も感じなかったため病院には行きませんでした。
ところが数か月前に突然心臓が停止し、倒れれているところを運よく発見されて救急搬送されました。
そのまま入院となり、2か月後にはICD植込み手術を受けました。
退院後は特に問題が無かったため、現在は仕事にも復帰し、支障なく過ごしておられました。
ICDやペースメーカーの植込みをしている場合は、特に生活に支障が無くても障害年金等級の3級に該当します。
そのためこの方は障害厚生年金3級が受給できることは確実だったのですが、初診日の時期によって年金額は変わりますので、いつの時点が初診と判断されるのかがポイントでした。
原則だと、10年前に健康診断で指摘を受けて近くの循環器内科を受診した時点が初診日でしたが、その時点では特に治療の必要が無く、その後は何の自覚症状もなく社会生活を送れていました。
そのため社会的治癒が認められ、突然心停止して救急搬送された時点を初診日と主張すべきであると判断しました。
社会的治癒とは、投薬などの治療が必要ないほど状態が安定し、その後長期間に渡って社会生活を営めていた場合に、医学的には治癒していなくても、社会的に治癒したと見なして再発時点を初診日と認めてもらえる可能性がある法理のことです。
しかしこの考え方は、条文などで明確に定められているわけではなく、必ず認められるわけではありませんので、注意が必要です。
受任してから申請までに行ったこと
本来は初診の医療機関で受診状況等証明書(初診日証明)を取得する必要がありましたが、社会的治癒を主張する予定の緊急搬送された病院には現在も通院しておられました。
初診時点の医療機関と診断書を作成してもらう医療機関が同一である場合は、診断書の内容だけで初診日も証明できますので、受診状況等証明書を別で取得する必要がありません。
窓口でのマニュアル対応だと10年前の受診について受診状況等証明書を取得するよう言われるはずですが、明らかに社会的治癒が認められる状況でしたので、取得しませんでした。
診断書を作成してもらったところ、医師は緊急搬送された時点が初診日と判断された内容になっていましたので、医師の判断に従って病歴就労状況等申立書を作成しました。
結果
無事に緊急搬送された時点が初診日と認められ、障害厚生年金3級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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