大動脈弁閉鎖不全症で障害厚生年金3級に障害認定日まで遡って認められたケース(事例№6737)
相談時の状況
大動脈弁閉鎖不全症により人工弁を入れておられる、60代男性の開業医からご相談いただきました。
長年医師として活動してこられましたが、障害年金が受給できる可能性があることは最近知ったそうです。
主治医が元々知り合いで、同じ医師の立場から診断書の書き方や内容について指図するのは気が引けるので、間に入ってサポートしてほしいとのことでした。
社労士による見解
この方は元々高血圧で、知り合いの医師がやっておられる内科クリニックに通っていたそうです。
約5年前に突然倒れ、いつもの内科クリニックを受診されたところ、国立の大きな病院を紹介されました。
大動脈弁閉鎖不全症と診断され、数か月後に人工弁置換手術を受けました。
人工弁を装着している場合は、日常生活に支障が出ていなくても障害等級3級に該当します。
また、通常は初診日から1年6か月経過(障害認定日)してからでないと申請できませんが、人工弁を装着した場合はその時点で症状固定と判断され、1年6か月経過する前でも申請することが可能となります。
(ただし、初診日から1年6か月以上経過した日以降に装着した場合の障害認定日は、装着した日ではなく、原則通り1年6か月経過した日)
この方は以前から高血圧で通院されていましたが、弁疾患の初診日は高血圧と関係ありませんので、5年前に倒れて受診した時点が初診日となり、その数か月後に置換術を受けた日が障害認定日だと判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
通常は、初診日の証明として受診状況等証明書を初診の医療機関で作成してもらう必要があります。
また障害認定日まで遡って審査を受ける場合は、障害認定日時点のものと現時点のものの、2通の診断書が必要です。
この方の場合、まず受診状況等証明書については、初診の内科から大きな病院へ移って置換術を受け、また初診の内科に戻っていましたので、診断書は初診の内科に書いてもらう予定でした。
初診の医療機関で診断書を作成してもらう場合は、診断書の内容から初診日も証明できますので、受診状況等証明書を取得する必要はありません。
またマニュアル通りであれば2通必要な診断書も、障害認定日時点に『人工弁を装着していた=3級の状態』であることは現時点の診断書の記載内容だけで証明できるため、障害認定日時点の診断書無しで遡及請求できます。
通常は、『受診状況等証明書+認定日の診断書+現時点の診断書』が必要なところを、『現時点の診断書』のみで進めました。
結果
無事に障害認定日まで遡って、障害厚生年金3級に認められました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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