1回の往診のみで統合失調症により障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5737)
相談時の状況
20代の息子さんについて、お母様からご相談いただきました。
19歳の時に自宅で暴れたため警察に介入してもらい、その際精神病院へ連れて行かれたそうですが、病識がないためその後は受診を拒否し、自宅に閉じこもって生活しているとのことでした。
社労士による見解
お母様からお話を伺ったところ、息子さんは3歳になっても言葉を話さず、目線も合わなかったそうです。
幼稚園では座らせておくとそこから一切動こうとせず、脱糞しても気にしませんでした。
小学校に上がっても同級生や教師とは一切関りを持とうとせず、常にクラスで孤立していましたが、テストの点数は悪くありませんでした。
中学校でも同様の状況でしたが、2年生の時に突然通知表の評価に腹を立て、不登校となりました。
家でも自室に誰も立ち入らせないようにしたり、幼少期からの写真を破り捨てたりする行動が見られるようになったそうです。
その後高校に進学しましたが、いじめに遭うようになり、2年生から不登校となったため、通信制高校に転校しました。
通信制高校卒業後は進学も就職もせず、完全に自室へ引き籠るようになりました。
この頃から、意味不明の独り言を同居の母や姉が耳にするようになり、唯一心を開いていた姉とも頻繁に喧嘩をするようになったそうです。
19歳の時に、姉との喧嘩がエスカレートし、暴力を振るわれて命の危険を感じた姉が警察へ通報しました。
すぐに警察署へ連行され、同日中に警察官に連れられて精神病院を受診したそうです。
しかし、医師が何を話しかけても一切反応せず、終始無言であったため、診断名もつきませんでした。
お母様は精神病院へ通院させようとしましたが、病識が全くないため本人が拒否し、その後も自宅に閉じこもる生活をつづけたそうです。
おそらくは妄想の症状が悪化していき、夜中に姉の部屋の前に立ち、「盗聴するな!!」「なんで監視するんや
!!」などと意味不明のことを興奮しながら言うようにもなりました。
お話しを伺った限りだと、おそらくは生まれながらに発達障害をお持ちで、その二次障害として統合失調症もしくは妄想性障害を発症してしまっていることは明らかでした。
しかし本人に病識が一切なく、精神科へ連れて行こうとしても応じないため、お母様はどうすればよいかわからない状況でした。
受任してから申請までに行ったこと
まず初診日については、警察官に連れられて受診した19歳の時点で成立すると考えました。
病院のソーシャルワーカーさんに確認してもらったところ、カルテもしっかり記載されていましたので、受診状況等証明書(初診日証明)を作成してもらえました。
問題の診断書については、実はこういったケースは過去に経験があり、その時は往診に応じてくれる精神科を探して事情を理解してもらい、自宅の自室前から一方的に話しかけることで診療を成立させてお書きいただくことができました。
今回は、お母様が往診してもらえる精神科医を探してこられました。
いろいろ話しかけてもらったそうですが、一切返答せず、表情すら変えなかったそうです。
この一度だけの診察でしたが、統合失調症と診断され、今までの経緯についてはお母様から聞き取った状況をこちらで資料にまとめ、参考にしていただきながら診断書をご作成いただけました。
結果
無事、障害基礎年金1級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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