Ⅱ型糖尿病性腎症で障害厚生年金2級に認められたケース
相談時の状況
ご本人から電話でご相談いただき、後日事務所へお越しいただいて面談を行いました。
社労士による見解
この方は約5年前に会社の健康診断で高血糖を指摘され、病院へ行くよう指示されましたが、自覚症状が殆どなかったため放置しておられました。
ところがその1年後から倦怠感が強くなったため、近くの内科クリニックを受診されたところ、Ⅱ型糖尿病と診断されました。
以降は投薬治療を継続されていましたが、クレアチニン値が悪化したため、大きな総合病院へ転医されました。
その後も投薬治療を続けておられましたが検査数値は徐々に悪化し、ご相談いただく数か月前から人工透析を開始しておられました。
受任してから申請までに行ったこと
以前は健康診断で、「要治療」や「要精密検査」などの指示がでていた場合は、健康診断を受けた日を初診日にされてしまうことがよくありました。
そのため長年糖尿病を患ってこられた方が最終的に腎不全となった場合、健康診断結果に基づいて初診日を証明できず、障害年金を受給できなくなることがありました。
しかし平成27年10月に初診日の取り扱いが変更され、健康診断を受けた日は初診日として取り扱わないこととされました。
そのため健康診断を実施した医療機関ではなく、しばらくしてから受診された内科クリニックへ受診状況等証明書(初診証明)の作成を依頼してもらいました。
診断書を医師へ依頼してもらう際は、後で修正や追記をしてもらう必要がなくなるよう、正しい診断書の書き方をご理解いただくための参考資料を作成し、受診時にお渡しいただきました。
病歴就労状況等申立書をこちらで作成する際は、初診日について誤解が生じたりすることが無いよう、発症から現在までの経緯をわかりやすくまとめました。
結果
無事、障害厚生年金2級に決まりました。
人工透析を受けておられる方は、確実に障害等級2級以上に該当します。
しかし障害年金は、それだけで受給できるわけではありません。
まず初診日がどこになるのかを正しく判断し、そこまでの年金保険料の納付条件を調べる必要があります。
糖尿病を原因とした腎不全だと、糖尿病で初診を判断する必要があります。
長年糖尿病を患ってこられた場合は、初診時点のカルテが既に破棄されていることが多く、初診日を証明できる客観的証拠がないままで申請しても、確実に不支給とされてしまいます。
どの時点が初診日とされるのか。またその時点のカルテが無ければどうすればよいのか。
障害年金の申請は細心の注意を払いながら進めていく必要がありますので、まず初めに専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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