糖尿病性の慢性腎不全で障害厚生年金2級に認められたケース
相談時の状況
奥様からお電話でご相談いただき、後日ご夫婦で無料相談会へご参加いただきました。
社労士による見解
ご状態について伺ったところ、数か月前から人工透析を開始しておられました。
血液透析や腹膜透析をされている方は、障害の程度としては2級に認められます。
しかし糖尿病性の腎不全は初診日が何十年も前まで遡ってしまい、カルテに基づいた証明ができないため障害年金を受給できなくなるケースが多くあります。
発症から今までの経緯を確認したところ、ご本人が初診だと認識しておられた病院は10年以上前に廃院となっておりました。
その後同じ施設で他の医師が開業したためそちらへ転医されましたが、前医のカルテは引き継いでおられませんでした。
しかしさらに詳しくお話を伺ったところ、ご本人が初診だと考えておられた病院は単に胃潰瘍で通院しておられただけで、尿たんぱくなどを指摘されたこともなかったようですので、腎臓疾患と関係ないことがわかりました。
廃院後に転医した病院に確認したところ、そこではじめて尿たんぱくを指摘され、糖尿病の診断を受けておられましたので、そちらが初診日であると判断しました。
受任してから申請までに行ったこと
当初転医先では胃潰瘍の治療だけを受けておられ、尿たんぱくが確認されてから糖尿病の治療も合わせて受けるようになっておられましたので、初めてその病院を受診した日ではなく、尿たんぱくが確認された時点が初診日であることを医師にお電話で説明し、正しい内容の初診日証明(受診状況等証明書)をご作成いただきました。
結果
無事、障害厚生年金2級に認められました。
人工透析を受けておられる方は、障害等級は確実に2級とされるのですが、初診日の証明が困難であるため、申請しても不支給とされてしまうことが本当に多いです。
障害年金は初診日の客観的な証明を提出できなければ、残念ながら支給されません。
年金事務所の窓口でカルテが残っていないことを伝えると、「受診状況等証明書が添付できない申立書」という用紙を渡され、初診日や添付できなかった理由を自己申告で記入するよう指示されます。
これを使えば申請自体は簡単に受付けてもらえるのですが、何か客観的な証拠も付けなければ、間違いなく審査に通りません。
どこが初診日に認められるかということや、何が客観的証拠として有効かという判断は、非常に複雑ですのでまずは専門家へご相談いただく方が安全です。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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