アルコール依存症からのウェルニッケ脳症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№506)
相談時の状況
総合病院の相談員さんから、アルコール依存症からウェルニッケ脳症を発症された50代男性についてご相談いただきました。
その数日後に病院内で面談させていただく予定でしたが、急遽容態が悪化し、総合病院での対応が困難になったため、精神病院へ転院されました。
そこで、転院先の相談員さんに事情を説明し、そちらの病院内で奥様と面談を行いました。
社労士による見解
奥様から詳しくお話を伺ってみると、ご主人は約5年前に忙しい部署へ異動となり、ストレスから大量に飲酒するようになったそうです。
異動して1年過ぎたころから道に迷うことが多くなり、現場へたどり着けないこともあったそうです。
さらに1年経過した頃には物忘れがひどくなり、食べたはずのご飯を食べてないと言い出したり、入ったはずのお風呂も入ってないと言い張るようになりました。
さらに時間が経過すると、ふらついてまともに歩行できないことも多くなったため、職場の指示で、今回ご相談いただいた総合病院を受診したところ、アルコール依存症と診断され、小脳も委縮していることがわかりました。
その1年半後には殆ど歩行できなくなり、食事も摂れない状態だったため、入院して検査を受けたところ、ウェルニッケ脳症と診断されました。
さらに入院して1か月後くらいから、妄想・幻覚・幻聴の症状もみられるようになったため、精神病院へ転院されました。
現在の症状から考えて、障害等級2級以上に該当する可能性が高いと判断しました。
しかし、面談に同席していただいた相談員さんは、「アルコール依存症は障害年金の対象になりにくい」と考えておられ、主治医も同様のお考えをお持ちだということもわかりました。
受任してから申請までに行ったこと
障害認定基準には、次のことが明記されています。
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アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象とならない
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つまり、アルコールや薬物の影響によるものは、精神病性の障害や明かな身体依存がなければ、障害年金の対象にはならないということです。
言い換えると、精神病性の障害や明らかな身体依存があれば、障害年金の対象になるのです。
アルコール依存が発端だからと言って、それだけで支給の対象外にされてしまうわけではありません。
そういった事情や、この方の今までの経緯などを文書にまとめて、相談員さんから医師へお渡しいただいたところ、直ぐに理解していただくことができ、問題なく診断書をお書きいただけました。
結果
無事、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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