妻の日記などから糖尿病の初診日を証明できたケース(事例№6936)
相談時の状況
Ⅱ型糖尿病が原因で腎不全となり、2年前から血液透析を受けておられる40代の男性からご相談いただきました。
人工透析だと2級の障害年金が受給できると知り、年金事務所へ通ってご自身で進めておられたのですが、初診日の証明が取れないとわかり、こちらへ相談にこられました。
社労士による見解
この方は10数年前に、会社の健康診断で尿たんぱくを指摘され、近くの内科を受診したところ、Ⅱ型糖尿病と診断されました。
通院するよう言われましたが、自覚症状がなく仕事も忙しかったため、数回受診しただけで行かなくなったそうです。
約5年後に症状が悪化したため別の病院へ掛りなおし、治療を受けていましたが腎機能はどんどん低下していき、3年後には血液透析を受けるようになりました。
障害年金の手続きをしようと年金事務所へ行ったところ、まずは最初の内科で受診状況等証明書(初診証明)を取得するよう指示されました。
ところが調べたところ、数年前に院長死去のため閉院となっていることがわかったそうです。
医療機関は、カルテを最低5年は保管する義務があり、閉院後も同様です。
当然受診から5年以上経過していれば破棄してもよいので、古いカルテは閉院後すぐに処分しても問題はありませんが、院長が死去されて閉院という状況であればわざわざ選別して廃棄するようなことはないと思います。
ところが、大抵は院長の自宅でしばらく保管されていますが、院長が亡くなられている場合は、そのご家族だと対象者のカルテの内容を見て判断することが難しいでしょうし、センシティブ情報をこちらで直接確認するわけにはいきませんので、カルテによって初診日を証明することは非常に困難です。
カルテに代わる客観的な証拠が何かないか探してもらうようお願いしたところ、後日、奥様がその当時付けられていた日記が見つかりました。
内容を拝見したところ、会社の健康診断で指摘を受けた日のことや、その後近くの診療所を受診して糖尿病の診断を受けたことが明記されていましたので、これを証拠として進めてみることにしました。
受任してから申請までに行ったこと
初診の医療機関で受診状況等証明書を作成してもらえない場合は、次に受診したところで書いてもらう必要があります。
2番目のところに書いてもらったところ、前医があることは書かれましたが、時期については触れられていませんでした。
そのため予定通り、2件目の受診状況等証明書と合わせて、奥様が書かれた日記のコピーを添付して申請しました。
しかし約2か月後に、提出があった証拠だけでは初診日を認めることができないため、追加で証拠を提出するようにとの指示が障害年金センターからありました。
そこで、この方は視力低下を自覚して眼科を受診され、糖尿病性網膜症と診断を受けておられたこともありましたので、初診日より少し後の出来事でしたが、その眼科でも受診状況等証明書を作成してもらい、奥様の日記の信ぴょう性を高める情報として提出しました。
結果
無事に初診日が認められ、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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