初診日を証明できなかったが腎不全で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№7222)
相談時の状況
腎不全のため人工透析を受けておられる64歳の女性について、娘さんからご相談いただきました。
娘さんが手続きを進めようとしたが、初診日を証明できるものが何も無いと判明し、数か月後に65歳となって障害年金を申請できなくなるのにどうすればよいのかと途方に暮れおられました。
社労士による見解
この方は、20年前に骨折で通院していた整形外科クリニックで、血液検査の結果高血糖を指摘されたそうです。
近くの内科を受診したところ、糖尿病と診断され通院するようになりました。
その後は徐々に病状が悪化していき、2年前に腎不全となって総合病院を紹介されました。
昨年から、人工透析を受けているそうです。
娘さんが初診のクリニックへ問い合わせたところ、カルテはもちろん、何の記録も残っていませんでした。
当時の診察券やお薬手帳などもなく、紹介状を持って次の医療機関へ行った場合は、転医先でその紹介状が残されており、その内容から初診日を証明できることが良くありますが、紹介状無しで移られたためそれもありませんでした。
受任してから申請までに行ったこと
障害年金は、初診日を証明する義務が請求者にあり、証明できない限り受給することができません。
しかし、どの程度まで証明しなければならないのかは、状況によってことなります。
初診日をしなければならない理由は、次の3つです。
————————————————————
1.障害年金は、初診日の時点で被保険者だったものが対象。
⇒初診日がわからないければ、被保険者だったかどうかがわからない。
2.障害年金は、初診日の時点で加入していた年金制度でもらえる年金の種類が決まる。
⇒初診日がわからなければ、厚生年金と基礎年金のどちらを支給すればよいかわからない。
3.障害厚生年金は、障害認定日の時期によって年金額が決まる。
⇒初診日がわからなければ、年金をいくら支給したらよいかがわからない。
————————————————————
つまり、一番厳しく見られるのは初診日がある月の中で入退社があり、国民年金と厚生年金の時期が混在している場合で、「〇年〇月〇日」と日にちまで証明しなければなりません。
次に厳しいのが初診日の時点で厚生年金だった場合で、明確に「〇年〇月」と月まで証明する必要があります。
ところが、基礎年金は定額であり、時期によって金額が変わることが無いため、国民年金の場合は、「ここからここまでの国民年金加入期間内のどこかに初診日がある」ということが証明できれば問題なく認められるのです。
この方は、約25年前から一貫して国民年金の被保険者でしたので、初診日が国民年金の時期どこかにあると証明できればなんとかなると判断しました。
2番目に受診された医療機関に受診状況等証明書(初診日証明)を作成してもらったところ、当然前医の初診日は書かれていませんでしたが、記載されていた発病年月日が国民年金加入時期でしたので、それを初診証明の根拠として進めてみました。
結果
無事に初診日が認められ、障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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