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就労していた時点でも若年性認知症で2級に認められたケース

ご相談にいらした状況

奥様よりお電話でご相談いただき、後日無料相談会へご参加いただきました。

 

社労士舩田による見解

奥様より詳しくお話を伺ったところ、ご本人様は元々一流企業で管理職をしておられ、非常に優秀な方だったそうです。しかし約6年前から漢字が読めなくなり、仕事上の契約書なども理解ができなくなっておられました。はじめは家族にも内緒にしておられたのですが、あまりしゃべらなくなり、笑顔も見られなくなっていったため、奥様が異常を感じて神経内科へ連れていかれたそうです。しかし最初の病院ではなかなか病名が判明せず、同院の精神科なども紹介で受診されたのですが、数か月後に他院の神経内科を受診され、ようやく認知症であることが発覚しました。

相談を受けた時点では殆ど意思の疎通ができず、一日中誰かが傍についていなければならない程進行しておられたため、1級相当だと判断しました。初診から1年半経過した時点でも会話が成り立たないほど進行していたのですが、大変理解のある会社であったため、何もできない状態であったにも関わらずポストを貰え、何とか出勤しておられました。しかし出勤していても仕事は何一つさせてもらえず、椅子に座っているだけの状態でしたので、就労不能であることを主張して2級に認められる可能性があると考えました。

 

受任から申請までに行ったこと

診断書は問題ない内容で作成してもらえたのですが、障害認定日時点は出勤できていた事実だけで等級を低く判断されてしまう可能性がありました。そこで病歴就労状況等申立書を作成する際に、会社でのご本人の状況を具体的に盛り込み、実態として就労不能の状態であったことを強くアピールしました。

 

結果

無事、障害認定日時点は障害厚生年金2級に認められました。

ところが1級相当であるはずの現時点の状態も2級のままになっていましたので、1級相当であることを主張して現在も審査請求中です。(平成27年4月現在)精神の障害で申請すると、就労していた場合は診断書の内容に関わらず軽い等級で判断されることが昔からありました。あまりにもそういう事例が多くあったため、現在は障害認定基準の中に、実際に仕事をしているかどうかだけで判断せず、実態として就労可能かどうかを判断しなければならない旨がわざわざ追加されています。にもかかわらず、少しでも働けている場合はそれだけで等級を軽く判断されてしまう傾向が現在も強く残っています。

生きていくためには何らかの手段で収入を得なければならないわけで、本来は働けないはずのところを無理して仕事していたり、会社が配慮してくれて何とか席を置いてもらっているだけの場合でも、なかなか考慮してもらえません。明らかに間違った判断をされているのですが、そういった不当な審査が横行しているのが現実です。そういう場合は審査請求(不服申立)をしてもなかなか認められないのですが、初めの申請の段階で非の打ちどころのない書類を提出できており、尚且つ認定基準に基づいた的確な主張ができれば、決定が覆ることもあります。まずは間違いのない書類で申請しておくことが何より重要ですので、認定基準や審査の傾向を熟知した専門家へ相談されることをお勧めします。

社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

舩田 光朗
舩田 光朗社会保険労務士
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