増殖糖尿病網膜症で障害厚生年金1級に認められたケース(事例№457)
相談時の状況
Ⅱ型糖尿病を原因とした、増殖糖尿病網膜症で両目を失明された20代男性のお母様からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は以前から会社の健康診断で尿たんぱくを指摘されていましたが、目立った自覚症状は無かったため、大したことは無いと考えて病院には行かなかったそうです。
1年前から目が霞むようになったたため、眼科へ行きコンタクトを作ったそうです。
しかし効果が無かったため、再度受診したところ国立の大きな病院を紹介されました。
翌日に紹介された国立病院の眼科を受診したところ、元々以前からⅡ型糖尿病を発症しており、合併症として網膜症も発症していたことがわかりました。
その後短期間に複数回手術を受けられたのですが悪くなるばかりで、初診日から1年も経たずに失明されました。
受任してから申請までに行ったこと
障害年金は、初診日の証明が非常に重要です。
初診日は、障害年金を申請する病気そのものについて、初めて医師の診療を受けた日とは限りませんので注意が必要です。
申請する傷病と強い因果関係がある病気を以前から患っておられる場合は、そちらで初めて医者にかかった日が初診日となる可能性が非常に高くなります。
糖尿病性の網膜症や腎不全などは、糖尿病を原因として発症しますので、そちらで初診日を判断されます。
そのため、糖尿病治療を続けておられて、最終的に網膜症や腎不全などになられた場合は、糖尿病に関係する症状を初めて医師に診てもらった日を初診日として証明する必要があるのです。
糖尿病を患っておられる方は、徐々に症状が悪化していき、最終的に合併症で重い障害状態となられることが多いですが、このようなケースだと、既に初診時のカルテが破棄されており、障害年金を受給できなくなってしまうことが珍しくありません。
この方は幸か不幸か、健康診断で以前から指摘されていたものの、受診はされていませんでしたので、初めて眼科を受診された日を初診日として主張しました。
結果
無事、障害基礎年金1級に決まりました。
糖尿病を原因とした腎不全・網膜症・壊死などは、原則として糖尿病で初診日を判断されます。
しかしややこしいことに、高血圧が原因で腎不全となられた場合は、高血圧で初診日は判断せず、腎機能の低下が初めて認められた日が初診日と判断されます。
このように、初診日の判断は非常に複雑です。
病歴就労状況等申立書の書き方がまずければ、誤解が生じて初診日を遡って判断されてしまうこともあります。
まず初めに、経験豊富な専門家へご相談いただくことをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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