一時的に設置予定だった人工肛門で障害厚生年金3級に認められたケース(事例№5097)
相談時の状況
約1年前に直腸がんと診断された、50代男性からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は約1年前に便の出にくさを訴えて近医を受診されたところ、ポリープが見つかりました。
その日のうちに大きな総合病院を紹介受診されたところ、直腸S状部結腸ガンと診断され、そのまま入院となりました。
直腸を切除する手術を受けられたのですが、術後に容態が急変したため、一時的な対応として人工肛門を設置されました。
約半年後に抗がん剤治療も終わり、更に半年後にはストーマを取り外す手術日も決まっていたのですが、用心のために受けたPETCT検査で再発が確認され、継続治療が決まったところでした。
障害年金は、原則初診日から1年6か月経過したが障害認定日とされており、1年6か月経過後でなければ申請することができません。
しかし例外として、人工肛門を造設した場合は、「造設から6か月経過した日」が障害認定日とされているため、直ぐにでも申請できる状況でした。
またご本人は、本来は直ぐに取り外される予定だったストーマでも対象になるかどうかを心配されていましたが、障害認定基準に「一時的な造設はダメ」という記載は存在せず、結果的に続いていれば問題なく対象となる旨を説明しました。
受任してから申請までに行ったこと
人工肛門造設日まで遡って支給を求めることにしました。
本来は障害認定日(造設日)から1年以上経過している場合、診断書は障害認定日時点のものと現時点のものの計2通が必要です。
しかし人工臓器を設置したような場合は、造設した日さえ明記してもらえば、現時点の診断書だけでも問題なく遡って認められることを経験上知っていましたので、余分な認定日時点の診断書は依頼せず、現時点の診断書だけ作成してもらいました。
結果
無事、造設日まで遡って障害厚生年金3級に認められました。
障害年金には数多くの例外事項があり、非常に複雑です。
また今回のように、審査の実務上は1通の診断書だけで済むところを、年金事務所の窓口ではマニュアル通りに対応されて2通の診断書を求められてしまうこともよくあります。
まずは一度、専門家へ相談されることをお勧めします。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
-
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
「相談して良かった」「やるべきことが明確になった」と、相談後には気持ちが前向きに、軽くなれる様、耳を傾け、アドバイスすることを心掛けております。まずはお気軽に相談ください。
- 6月 4, 2020精神の障害不支給からの再チャレンジでカルテの提出を求められたケース(事例№5083)
- 6月 2, 2020肢体の障害進行性核上性麻痺で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5216)
- 5月 26, 2020内臓系の障害初診が20年前の慢性呼吸不全で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№345)
- 5月 18, 2020精神の障害幼少期の脳腫瘍が原因で高次脳機能障害となったケース(事例№5120)
関連記事
クイックタグから関連記事を探す
「がん」の記事一覧
- 過去に2度不支給になっていたが再チャレンジで障害厚生年金3級に認められたケース(事例№6424)
- がんで死亡後に遡及請求し障害厚生年金2級に認められケース(事例№5301)
- 医師に障害をなかなか認めてもらえなかったが口腔底がんで障害厚生年金2級に認められたケース(事例№327)
- 口腔がんによるそしゃく嚥下障害とペースメーカーを合わせて障害基礎年金2級に認められたケース(事例№263)
- 胸髄悪性腫瘍で障害年金申請しようとしたが医事課で初診証明を拒否されていたケース(事例№1576)
- 乳がんで障害年金請求し一旦不支給とされたが審査請求で覆したケース(事例№460)
- 仕事を続けながらでも乳がんで障害基厚生年金3級に認められたケース
- 乳がんで障害基礎年金1級に認められたケース
- 脳悪性リンパ腫で医学的に関係ない時期が初診日として認められたケース
- 直腸癌で障害基礎年金1級を受給できたケース
- 喉頭がんで障害基礎年金1級を受給できたケース
- 乳がんで障害厚生年金2級に認められた事例