脳幹出血による重い後遺症が複数あったが肢体障害のみで障害厚生年金1級に認められたケース(事例№6162)
相談時の状況
区役所の福祉課の職員さんから、脳幹出血により重い障害を負われた60歳の男性についてご相談いただきました。
ご本人は寝たきりで意思疎通も満足にできない状態なため、高齢のお母様が動いておられたそうですが、対応は困難と職員さんが判断され、当センターへお母様を連れてこられました。
社労士による見解
この方は約2年前、仕事中に突然倒れて救急搬送されました。
一命は取り留めたものの多数の障害が残り、全介護の状態となってしまいました。
通常の脳出血であれば、右か左の片麻痺になりますが、出血したのが脳幹であったため四肢麻痺となり、ベッドから自力で動くこともできない状態でした。
嚥下障害も残り、経口的に食べ物を摂取することができなくなったため、胃婁を増設されていました。
さらに高次脳機能障害も重く、話しかければ反応はあるものの、言葉を発することはできず、さらに内容も理解できていないようでしたので、意思の疎通が全くできない状態でした。
この状態を障害認定基準に当てはめると、四肢麻痺による肢体障害は自力で動くことができない状態でしたので、「1級相当」でした。
嚥下障害は経口的な食物摂取ができない状態でしたので、「2級相当」でした。
高次脳機能障害による言語障害は、言葉を発することが全くできない状態でしたので、「2級相当」でした。
同じく高次脳機能障害として、意識障害があり、周囲のことなども認識できていない状態でしたので、精神の障害としても「1級相当」である可能性が高いと判断しました。
障害が、「1級相当が2つ」に「2級相当も2つ」という状態でしたが、障害年金の等級は1級より上がありませんので、複数の障害で認定を受けても、更新のたびに何枚もの診断書を医師にお金をかけて書いてもらわなければならない状況になってしまいます。
そのため、1級相当である「肢体の障害」か「精神の障害」のどちらか一つで進めることにしました。
受任してから申請までに行ったこと
お母様はご高齢で対応がむずかしいため、直接病院のソーシャルワーカーさんとやりとりして進めていくことにしました。
まず主張する障害は、現在見てもらっている医師は整形外科でしたので、高次脳機能障害について精神の障害用の様式で診断書をお書きいただくことは難しいと判断し、肢体の障害用の様式だけで申請することにしました。
正しい内容で作成してもらうための参考資料を作成し、ソーシャルワーカーさんを通じて医師へお伝えいただいたところ、間違いなく1級で認められる内容でお書きいただけました。
その診断書の内容を踏まえたうえで、詳細な病歴就労状況等申立書を作成し申請しました。
結果
無事、障害厚生年金1級に障害認定日まで遡って認められました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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