脳出血による片麻痺で初診日から半年で症状固定にと認められたケース(事例№7058)
相談時の状況
脳出血による後遺症で右片麻痺が残った50代男性について、奥様からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は職場で倒れ、近くの総合病院へ緊急搬送されました。
保存治療で2週間入院した後に他院へ移り、半年間リハビリを受けましたがあまり回復せず、右上下肢に重い障害が残りました。
右腕はほとんど動かせず、右脚も杖を使用しなければ歩行が困難な状態でしたので、2級に該当すると判断しました。
ポイントは、申請する時期でした。
原則では、障害年金は初診日から1年6か月経過した時点が障害認定日となり、そこから申請できるようになります。
しかし、脳血管障害による機能障害は、初診日から6カ月以上が経過し、医師が症状固定と見なした場合に、その時点を障害認定日として主張することができるという例外事項があります。
つまり、脳梗塞や脳出血による片麻痺は初診から1年6か月待たなくても、最短半年で申請できる可能性がある、ということです。
(残念ながら、高次脳機能障害は例外の対象になりません)
ただし、主治医が症状固定と認めても、審査上でも症状固定と見なされるとは限りません。
リハビリを継続している場合は、回復する可能性があると見なされて症状固定が認められない場合がよくあります。
ポイントは、「リハビリの目的」です。
「機能回復」を目的としたリハビリは、症状が良くなる可能性があると判断され、固定となりません。
しかし「機能維持」を目的としたリハビリは、症状固定と見なしてもらえます。
診断書や病歴就労状況等申立書に、「リハビリ」とだけ書かれてしまうと、機能回復のためのものと判断されてしまいますので、「機能維持のためのリハビリ」と明確に主張しておくことが重要です。
受任してから申請までに行ったこと
診断書を依頼していただく際は、日常生活状況などを詳しく説明する参考資料を作成し、医師へお渡しいただきました。
参考資料には、症状固定と見なしてもらうための上記説明も記載しておいたところ、問題のない内容でお書きいただくことができました。
病歴就労状況等申立書を作成する際も、日常生活状況だけでなく、機能回復のリハビリを行っている旨もしっかり書いておきました。
結果
無事に半年経過時点が障害認定日と認められ、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)

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