外傷性くも膜下出血で5年遡って障害基礎年金1級に認められたケース(事例№6381)
相談時の状況
外傷性くも膜下出血による重い左片麻痺と失語症がある60代男性について、奥様からご相談いただきました。
当初は奥様が障害年金の手続きを進めようとされていたのですが、内容が複雑であるため、途中で諦めてしまったそうです。
しかし、老齢年金受給まであと数年あるが、経済的に厳しくなってきたため、何とかできないかと当センターへご相談いただきました。
社労士による見解
6~7年前に自宅で階段から転落し、頭を強く打ったそうです。
奥さんは病院へ行くよう勧めたそうですが、ご本人は医者嫌いだったため拒否されました。
しかし翌日になると様態が急変し、意識を失って倒れたため、総合病院へ救急搬送されました。
外傷性くも膜下出血と脳挫傷が発覚し、2週間ほどICUに入り、その後一般病棟へ移されました。
左上下肢が麻痺してほとんど動かせず、失語症からまともに言葉を発することができない状態でしたので、その後はリハビリを行う予定でしたが、おそらくは高次脳機能障害から易怒性が極めて強くなり、すぐに大騒ぎをするようになったため受けられませんでした。
受任してから申請までに行ったこと
現在も、話は理解できているようですが、発語が全くできないため、意思の疎通ができない状態でした。
高次脳機能障害から易怒性も強く、てんかん発作もたびたび出ていました。
障害認定基準に照らし合わせると、失語症による言語障害も、高次脳機能障害・てんかんによる精神障害も、それぞれが2級相当でした。
一般的には、左片麻痺による肢体障害と合わせて、言語障害も精神障害も診断書を提出するところですが、この方は左片麻痺だけで1級相当でした。
肢体障害用・言語障害用・精神障害用と3枚の診断書を提出しても、肢体障害だけで1級に該当するのであれば、言語や精神を合わせてもそれ以上の等級はありません。
2枚分の診断書作成費用が無駄になり、また今後更新時も3枚の診断書を出す続けなければならなくなります。
そのため、言語障害と精神障害は主張せず、片麻痺による肢体障害だけに絞って手続きすることにしました。
肢体障害の診断書は、「肢体の機能の障害」の等級審査で最も重要視される「日常生活における動作の障害の程度」を誤った認識から実態よりも軽く書かれてしまうことがあるため、医師に正しい書き方を理解してもらうための参考資料を作成してお渡しいただいたところ、実態に即した正しい内容でお書きいただけました。
結果
無事肢体障害のみで、障害基礎年金1級に決まり、5年分の遡りも認められました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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