最初の受診から2年後が初診日と認められ若年性認知症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6890)
相談時の状況
若年性アルツハイマー型認知症を発症された50代男性について、お姉様からご相談いただきました。
社労士による見解
この方は仕事のストレスからうつ症状が出現し、約5年前に精神科クリニックへ通院するようになりました。
すぐに休職し、半年ほど投薬治療を受けたところ、症状が改善したため通院を終了し、復職もされていました。
しかしその1年半後に、再度不眠やうつ症状が出現し、さらに物忘れもひどかったためおなじクリニックを受診しました。
知能検査を受けたところ、認知機能の低下が認められたため、大きな病院で認知症検査を受けるよう勧められました。
大学病院で検査を受けたところ、若年性のアルツハイマー型認知症と診断されて休職することに。
実家で療養するようになったが、症状が改善するような障害ではないため、一度も復職はできずにその後退職しました。
現在は、会話をしてもなかなか言葉が出て来ず、簡単な手続きなども一人では行えなくなりました。
身のまわりのことは実家の家族が全てサポートし、仕事も一般就労は諦めて、就労継続支援事業B型の作業所に通っておられました。
障害状態は2級に該当する可能性がありましたが、初診日がいつの時点になるのかを慎重に判断する必要があると感じました。
抑うつや物忘れなどを自覚して精神科を受診し、当初はうつ病を疑われ、しばらくして認知症と診断されるケースがよくあります。
この場合、認知症と診断された時点ではなく、精神科を初めて受診した時点が初診日と判断されることが多いです。
しかしこの方の場合は、投薬治療を受けることで一旦うつ症状は軽快し、通院の必要がなくなっていました。
その約1年半後に再度同様の症状が出たため、同じ精神科を受診したところ、認知症の可能性を指摘されました。
一旦うつ症状が治まり仕事も問題なくできておられましたので、最初のうつ症状と現在のアルツハイマー型認知症は関係がないと主張し、後の方を初診日として進めることにしました。
受任してから申請までに行ったこと
最初の精神科で受診状況等証明書(初診証明)を作成してもらったところ、うつ症状は一旦治まり、職場にも復帰できていたと明記されていましたので、予定通り後の方を初診として進めました。
診断書を医師にお書きいただく際は、この方の発症から現在までの経緯や日常生活の状況などについてご家族から詳細にお話を聞き、参考資料として文書にまとめ、受診時に医師へお渡しいただきました。
また参考資料には、初めて精神科を受診した時点ではなく、再び受診した時点を初診日として主張する予定であることも明記しておきました。
病歴就労状況等申立書を作成する際も、再び受診した時点が初診日として適当であることを説明する文章を記載しておきました。
結果
無事主張通りに初診日が認められ、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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