20万円以上の給与をもらいながらてんかんで障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6167)
相談時の状況
てんかんをお持ちの30代男性について、お母様からご相談いただきました。
社労士による見解
お母様から詳しくお話を伺うと、この方は15歳の時にウィルス性脳炎に罹患し、全身性けいれんを起こして救急搬送されました。
1か月ほどで退院しましたが、その後も発作は治まりませんでした。
約15年前にてんかん専門のクリニックへ転医し、現在も通院治療を継続しておられました。
意識を失い転倒するほどの発作が今でも年に6回以上ありましたが、数年前から障害者雇用として就労できており、月に20万円程度の収入がありました。
まずてんかんでの障害年金請求は、非常に注意が必要です。
てんかんの障害認定基準には発作タイプと頻度以外に、「日常生活が著しい制限を受けるもの」という記載がある点です。
認定基準にこの記載があることで、診断書の日常生活能力に関する項目を発作間欠時で書かれてしまうと、「日常生活に支障は出ていない」と判断されてしまう危険性が生じるのです。
そのため診断書を作成してもらう際は、事情を医師に説明し、日常生活能力に関する項目は発作発生時も想定してお書きいただく必要があります。
また就労されている場合は、「仕事ができるくらい障害状態が軽い」と判断され、いくら日常生活能力に関する項目を注意して書いてもらっても、それだけで2級には認められなくなる可能性が非常に高くなります。
障害状態を軽く見られるのは一般就労の場合であり、障害者雇用であれば問題ないのですが、就労状況についても診断書の内容で判断されますので、誤解が生じないよう医師に気を付けていただく必要があるとも感じました。
しかしこの方の主治医は、過去に何度か診断書を書いてもらったことのある先生で、てんかんは決まって審査に通らない書き方をされる先生でした。
受任してから申請までに行ったこと
前述したように、実態を正しく理解してもらえる診断書を書いてもらうには、正しい書き方を医師に理解してもらう必要がありました。
しかしその先生は、過去に何度か参考資料をお渡したことがあったのですが、まったく見てはもらえていませんでした。
今回も同じ結果になるおそれが非常に高かったので、まずはお母様に詳しく説明し、しばらくの期間は受診時に、発作間欠時でもどれほど日常生活に支障がでているかを具体的に医師へお伝えいただくようにしました。
初めの頃は、「仕事できてるんでしょ?」「発作も年に数回だけだしねえ」という反応だったそうですが、仕事は周りの配慮がなければ継続できない障害者雇用であることや、発作がいつ起こるかわからないことで、本人や周りがどれほど行動を制限されているかということなどを数か月に渡って訴えてもらいました。
すると、普段どれほど日常生活に支障をきたしておられるのかを理解してもらえるようになり、何とか実態に即した診断書を書いてもらうことができました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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