脳出血による片麻痺と言語障害で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5385)
相談時の状況
脳出血による重い後遺症がある60代の奥様について、ご主人からご相談いただきました。
社労士による見解
ご主人から詳しくお話を伺うと、奥様は元々数値が200近い高血圧だったそうです。
約10年前にも脳出血で倒れたことがあったそうですが、後遺症はありませんでした。
しかしその3年後に再度脳出血で倒れ、緊急搬送されました。
今度は重い右片麻痺と高次脳機能障害が残り、リハビリは今も続けておられましたが、あまり改善は見られませんでした。
右片麻痺について細かく確認すると、右上肢は動かせないわけではありませんでしたが、麻痺により細かい動作は不可能で、筋力もかなり低下しておられました。
右下肢は殆ど自由に動かすことができず、本来は杖が必要でしたが、こだわりから使用を拒否され、杖の代わりにご主人の腕につかまりながら歩行されていました。
肢体の機能障害としてみると、2級以上は確実でしたが、診断書の内容によっては1級になる可能性も考えられました。
高次脳機能障害については、失語症が非常に重い状態でした。
声を出すこと自体はできるものの、自発的に言葉を発することは全くできませんでした。
しかし、単語をオウム返しすることは可能でした。(「リンゴ」と言われれば「リンゴ」と返す程度)
言語障害としてみた場合に、口頭での意思疎通が殆どできない状態だと2級に該当するのですが、これも診断書の書き方によって判断されます。
オウム返しとはいえ、言葉を発することができる部分を医師がどう判断して診断書に書かれるかがポイントでした。
障害年金の等級は1級より上がありませんので、肢体の機能障害だけで1級に認められるのがベストでした。
しかしそれが無理な場合は、2級相当の障害が2つあれば合わせて1級となるため、「肢体の機能障害・2級」+「言語障害・2級」であれば何とか1級にできます。
ところが肢体の機能障害は2級でも、言語障害が3級相当となった場合は併せても1級には上がりませんので、慎重に対応する必要があると考えました。
受任してから申請までに行ったこと
診断書をお書きいただく医師に、障害認定基準やこの方のADLについて正しく認識してもらうための参考資料を作成し、受診時にご主人からお渡しいただきました。
すると医師から直接説明してほしいとのご要望をいただきましたので、次の受診に同行し、事細かく口頭で説明したところ、肢体の機能障害は1級に該当するほどの状態ではないが、言語障害は2級相当だと認めていただくことができ、肢体・言語とも2級相当の内容で診断書をお書きいただけました。
結果
無事、障害基礎年金1級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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