脳梗塞による高次脳機能障害で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6482)
相談時の状況
脳梗塞による高次脳機能障害がある50代の男性について、会社の上司の方からご相談いただきました。
現在休職されているそうなのですが、もうすぐ傷病手当金が終わってしまうため、障害年金を受給させたいと考えておられるとのことでした。
社労士による見解
職場で同僚が話しかけた際に会話が成立せず、明らかに異常な状態であったため、すぐに救急車で近くの総合病院へ運ばれました。
左脳梗塞と判明し、そのまま入院して保存治療を受けましたが、右片麻痺と失語症が見られました。
その後リハビリの効果で右上下肢の麻痺はおおむね改善し、ある程度会話もできるようになりましたが、重い高次脳機能障害が残りました。
日にちや時間の感覚が無くなり、方向感覚も効かなくなったため、自宅の近所でも迷子になりました。
会話をしても少し長くなると理解できず、パニック状態となってフリーズしてしまうそうです。
簡単な計算もできなくなり、お釣りもわからないため、買い物はクレジットカードでしか行えません。
いままで当たり前にできていた家事なども行えなくなり、週に何度かヘルパーさんに来てもらうようになりました。
仕事は営業職でしたが、復帰は絶望的であるため、近々退職することとなったそうです。
脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による後遺症は、片麻痺であれば「肢体の障害用」の診断書を使用します。
高次脳機能障害は、失語症は「言語の障害用」の診断書ですが、それ以外の症状については、「精神の障害用」の診断書を使用します。
この方は、片麻痺も失語症もおおむね回復しており、障害等級に該当するほどの状態ではありませんでしたので、「精神の障害用」のみで進めることにしました。
しかしリハビリ終了後は、脳梗塞の後遺症については治療の必要がないためどこにも通院しておらず、昔からの掛かりつけの内科診療所で定期的に高血圧を診てもらっているだけでした。
受任してから申請までに行ったこと
精神の障害用の診断書は、原則として精神科医が記入することとされていますが、てんかん・知的障害・発達障害・認知症・高次脳機能障害などは、精神・神経障害の診断または治療に従事している医師であれば記入可能とされています。
リハビリで通院されていた総合病院を再度受診してもらうことも考えましたが、掛かりつけの内科医に相談してもらったところ、以前から定期的に受診されていましたので、大変な状況についても理解していただいており、ご協力いただけるとのことでしたので、そちらへ依頼することとなりました。
しかし、精神の障害用の診断書は記入されたことがないとのことでしたので、正しい書き方のマニュアルを作成して受診時にお渡しいただいたところ、問題のない内容でお書きいただけました。
結果
無事、障害厚生年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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