障害年金対象外の不安障害で申請したが障害基礎年金2級に認められたケース(事例№5378)
相談時の状況
精神科に通う50代女性について、ご家族からご相談いただきました。
ご本人はあまり覚えていないそうで、詳細はわからないのですが、どうも数年前に、離婚前の夫主導で障害年金の手続きをされたそうです。
しかしその時は不支給になってしまい、その後に離婚したこともあって、そのままになっていたようです。
社労士による見解
この方は、ご主人が約10年前にメニエル病を発症して働けなくなってしまい、ずっと看病をしていたそうです。
ご主人の実家が経済的な支援をしてくれたため、奥さんが働きに出なくても暮らせていたのですが、いつまで経ってもご主人の容態は良くならず、将来に不安を感じていたそうです。
5年くらい前から不眠の症状が出るようになり、内科で睡眠導入剤を処方してもらっていたそうですが、一向に良くならないため、精神科へ通院するようになりました。
しかしそれでも良くならず、希死念慮も出現するようになって、入退院を繰り返していました。
とにかく希死念慮が強く、一人にしておくことができないような状態が続いていましたので、日常生活に大きな支障が出ていることは明らかで、2級相当だと感じました。
ところが医師の診断名を聞いたところ、障害年金の対象外である「全般性不安障害」だとわかりました。
受任してから申請までに行ったこと
障害年金は様々な病気や障害で受給できますが、障害認定基準に対象外であると明記されているものがいくつかあります。
その一つが、「神経症」です。
不安障害は神経症に分類されますので、入退院を繰り返すほど重度の状態でも受給できません。
担当のソーシャルワーカーさんに事情を説明し、うつ病などの精神病も同時に診断しておられないか確認してもらいましたが、残念ながら不安障害以外の傷病名はつけられないとのことでした。
しかし、この方は希死念慮が非常に強く、思考や話す内容もまとまりがありませんでしたので、精神病の病態を示していることは明らかでした。
「神経症」は原則として障害年金の対象外ですが、障害認定基準には次のことも明記されています。
—————————————————————————–
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
—————————————————————————–
つまり、「精神病の病態を示している」と判断してもらえれば、神経症でも障害年金を受給できる場合があるのです。
医師に診断書を依頼していただく際は、ご家族から聞き取った発症から現在までの経緯や日常生活の状況などについてまとめた参考資料と、前述した神経症でも支給対象とみなされる場合の説明をまとめたものをお渡しいただいたところ、「精神病の病態を示している」と明記していただけました。
結果
無事、障害基礎年金2級に決まりました。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
-
当サイトをご覧いただきありがとうございます。当事務所は京都を中心に、府内全域を対象として、障害年金の申請サポートを行っております。(※相談は全国対応です。)
「相談して良かった」「やるべきことが明確になった」と、相談後には気持ちが前向きに、軽くなれる様、耳を傾け、アドバイスすることを心掛けております。まずはお気軽に相談ください。
- 11月 15, 2024精神の障害統合失調症で障害基礎年金2級に5年遡って認められたケース(事例№6866)
- 11月 8, 2024肢体の障害指が全く動かせないのに不支給とされたが審査請求で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6628)
- 11月 1, 2024精神の障害軽度知的障害で障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6860)
- 10月 25, 2024内臓系の障害マルファン症候群からの慢性心不全で障害厚生年金3級に認められ5年遡及も出来たケース(事例№6560)
関連記事
クイックタグから関連記事を探す
「その他精神障害」の記事一覧
- アルツハイマー型の若年性認知症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№6587)
- 強迫性障害で長年治療を受けていたが障害基礎年金2級に認められたケース(事例№6315)
- 若年性アルツハイマー病で不支給になっていたが再チャレンジで障害基礎年金1級に永久固定で認められたケース(事例№6250)
- コルサコフ症候群で障害基礎年金2級に永久固定で認められたケース(事例№5928)
- 鉗子出産が原因の器質性気分障害で障害共済年金1級に認められたケース(事例№5311)
- 混合性認知症で障害基礎年金1級に認められたケース(事例№5234)
- レビー小体型認知症のパーキンソン症状を審査対象外とされたケース(事例№5088)
- うつ病ではなくびまん性白質脳症とわかり障害厚生年金2級に等級変更できたケース(事例№5052)
- アルコール依存症からのウェルニッケ脳症で障害厚生年金2級に認められたケース(事例№506)
- 外出できただけで受給できないと言われていたが認知症で障害厚生年金2級になったケース(事例№569)
- 就労していた時点でも若年性認知症で2級に認められたケース