働きながら障害年金はもらえる?申請前に知るべき注意点を徹底解説!
本記事では、「働きながら障害年金はもらえるのか?」という疑問に答えつつ、申請における注意点について、相談件数8,751件・受給決定率98.8%(2024年6月30日時点)の社労士が詳しく解説します。
また最後には、当法人における実際の受給事例も紹介します。
正しい情報と適切な手続きを知ることで、障害年金制度を活用し、安心して生活するための一助となれば幸いです。
本来は働きながらもらえるはずのもの
まずは結論からいうと、働きながらでももらえるかどうかは、障害の種類や雇用形態によって異なります。
原則として障害年金は、働いて十分な収入がある場合でも受給を制限するような決まりはありません。(ただし、20歳前障害は所得制限があります)
にもかかわらず、就労中だと障害が軽度だと判断されて受給できない場合がよくあります。その主な理由は、一つ目が「障害の種類による障害認定基準の違い」で、二つ目が「雇用形態の違い」にあります。
障害認定基準が明確なものは就労しても影響がない
一つ目の重要なポイントは、「障害の種類」です。障害年金制度上の障害は、認定基準が検査数値などの客観的に判断できる情報のみで定められたものと、「日常生活に支障が出ているかどうか」というような曖昧な情報も含まれたものの2種類に分けられます。
例えば視力・視野障害や聴覚障害は、検査数値のみで認定基準が定められており、働けていても関係なく、数値基準を満たしていれば障害等級に認められるのです。 「人工透析を行っている」、「人工関節に置換している」、「~から手又は足を切断している」という場合も、そのことのみで等級に該当すると定められており同様です。
ところが、内科系疾患の認定基準は検査数値だけでなく、「日常生活に支障がでている」ことも必要とされており、支障が出ていないと見なされれば、いくら検査結果が重度であろうとも考慮されません。
また「精神の障害」は、そもそも目には見えない障害ですので、「日常生活に支障がでているかどうか」という観点のみで審査されてしまいます。
障害年金は本来働きながらでももらえる制度であるとお伝えしましたが、審査側としては、「働けているから支給しない」のではなく、「働けるくらい元気なら日常生活にも支障がでていないはず」と判断されるのです。
障害者雇用と一般雇用で異なる受給の可能性
二つ目のポイントは、「雇用形態」です。
前述のとおり、日常生活に支障がでているかどうかという曖昧な項目が認定基準に含まれている障害は、就労していれば障害状態が軽度であると見なされます。
就労が「一般雇用」の場合は、フルタイム勤務だけでなく、時短勤務や週1~2日だけのパートタイム勤務でも影響がでてしまうことが大半です。当法人の過去の事例では、「無給のリハビリ勤務」ですら働ける状態と見なされ、審査請求・再審査請求と争いましたが認められなかったこともあります。
ところが「障害者雇用」の場合は、配慮が必要な状態であり、働けるほど元気だと見なされず、問題なく障害年金を受給できることが多くあります。
障害者雇用とは何か?
それでは障害年金制度において、障害者雇用とはどのような雇用形態のことを指すのでしょうか?
実は、障害認定基準上は、障害者雇用に関する明確な記載はありません。平成28年9月に出された「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、「障害者雇用制度による就労については1級または2級の可能性を考慮する」との記載はありますが、障害者雇用の定義については触れられていません。
障害者雇用促進法における障害者雇用率制度においては、障害者手帳を所有する者が算定対象とされています。また過去に私が審査請求(不服申立)を行った際に、社会保険審査官が、就労していることから障害状態が軽度だと判断した際の理由として、「障害者手帳を所有していないことから、障害者雇用ではなく一般雇用と見なす」と主張してきたことが何度もありました。
そのため私は、「障害者手帳(身体障害者手帳・精神保健福祉手帳・療育手帳)」を所有している人が、職場にそのことを申告していれば、「障害者雇用」であると主張して差し支えないと考えており、医師に診断書を作成してもらう際も、そのように伝えています。
当センターで定期的に開催している無料相談会では、障害年金をもらえるかどうかの診断を無料で行っております。お気軽にお申し込みください。
フルタイムで働きながら障害年金を受給できた事例
実際にフルタイムで働いていた場合でも、適切な診断書を提出することで働きながら障害年金を受給できたケースがあります。
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フルタイムで勤務できていたが広汎性発達障害で障害基礎年金2級に認められたケース
精神疾患の方の認定審査において最も重要なのは、労働に従事しているかどうかだけでなく、就労状況や受けている援助の内容です。
受給の可能性を上げるには
症状が重くても、適切な書類が提出されていない場合は、不支給となってしまいます。申請前に専門家である社労士に相談し、サポートを受けながらしっかりと書類を準備することで、スムーズに手続きを進めることができます。
就労できていたという事実だけで症状を軽く見られてしまうことが無いよう、病歴就労状況等申立書や診断書には、具体的な就労状況や症状を詳細に記載してもらうことが重要です。
特にうつ病などの精神疾患は症状を数値で確認できないため、実際に就労できているかどうかで判断される傾向が他の疾患よりも強いです。
精神疾患の障害認定基準には、就労しているだけで安易に障害状態を軽度と判断してはならない旨が明記されていますが、実際には就労できているかどうかで判断される傾向が強いのが現実です。
会社に在籍している・していた事実だけで障害状態を軽く判断されてしまわないよう、実際の状況を詳しく病歴就労状況等申立書や診断書で説明し、それでも不当な審査結果が出た場合には、積極的に不服申立て(審査請求)を行っていくべきです。
当法人では、裁定請求の代理人として裁定請求に係るすべてのサポートをいたします。
お悩みの方、申請したいと思われている方は是非下記よりお問い合わせください。
当法人における受給事例
当事務所で働きながら障害年金を受給できた事例、当事務所のサポート内容について紹介します。
事例1:準社員で働きながら障害厚生年金2級に認められたケース
注意欠陥多動性障害(ADHD)・自閉症スペクトラム障害(ASD)・双極性感情障害の診断を受けておられる、20代の女性からご相談いただきました。
この方は一般雇用で就労中でしたが、前年に精神保健福祉手帳を取得され、職場にも提示しておられました。その旨を主治医に説明し、診断書の就労状況欄に障害者雇用であることを明記してもらったことで、無事に障害厚生年金2級を受給することができました。
さらに詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。
事例2:3級にも該当せず不支給とされたが審査請求で2級に変更されたケース
多動性注意障害(ADHD)とうつ病の診断を受けた30代女性の、ご主人からご相談いただきました。
女性は通院して投薬治療を受けており、「障害者雇用」での就労を続けていました。障害者雇用での就労のため、何の問題も無く審査を通過するはずでしたが、「就労中」という理由だけで不支給になってしまいました。
「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には、2級の可能性を検討すべき例として、「就労継続支援A型・B型」と「障害者雇用制度による就労」を挙げています。
明らかに不当な審査結果でしたので、すぐに審査請求(不服申立)の手続きを行った後、無事に障害厚生年金2級に認められました。
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事例3:うつ病でフルタイム勤務できていた期間も3級に認められたケース
ご本人よりお電話でご相談いただき、後日無料相談会へご参加いただきました。
この方は、障害認定日の時点では「フルタイム勤務」ができていました。しかし出勤していても殆ど仕事はできず、上司の気遣いで単純作業をやらせてもらっているだけでした。また1時間おきに休憩を取らなければ、単純作業もこなせない状態だったようです。
就労できていたという事実だけで状態を軽く見られてしまうことが無いよう、病歴就労状況等申立書で当時の勤務状況を詳しく記入し、いかに無理をして勤務していたのかを説明しました。
無事に障害基礎年金3級に認められ、5年分の遡及も行われました。
さらに詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。
最後に
障害年金を受給することは、国民の権利として認められていることです。
ところが障害年金制度は、利用しようとしても複雑でわかりにくいことから、手続き段階で挫折したり、受給要件を見誤ったりと、本来の『障害年金』としての役割を十分に果たし切っていないことも現実です。
また、障害年金の申請には医師の診断書が必要ですが、請求しないで何年も過ぎてしまうと、カルテの確認ができなかったり、担当医師が変わってしまっていなかったり、さらには病院自体がなくなってしまったりと、診断書を書いてもらえないケースも多々あります。
障害年金の申請で一番大事なことは、不安を感じたり、わからないことがあったりしたときに、すぐに専門家に問い合わせをすることです。
初回の相談は無料です。ぜひ当事務所にお気軽にご相談ください。
社会保険労務士 舩田 光朗(ふなた てるあき)
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