不当な審査で再審査請求までもつれ込んだケース

相談時の状況

反復性うつ病性障害で、10年近く投薬治療を受けておられる50代男性からのご相談でした。

 

社労士による見解

詳しくお話を伺うと、仕事上のストレスから約10年前よりうつ症状が出るようになり、精神科へ通院しておられました。
5年ほど同じ精神科を受診されていましたが、症状が良くならないことから別の精神科へ転医され、現在もそのクリニックへ通っておられました。

抑うつ状態や不眠症状だけでなく、希死念慮も強い方でした。
本来であれば働けるような状態ではなかったのですが、奥様もうつ病を患っておられたため、当初は無理をして仕事を続けておられました。

しかし無理が祟って一切出社できなくなり、障害認定日である初診から1年6か月経過した時点では無職でした。

その後も家族を養うために無理をして就職しては、数か月で出社できなくなり退職することを繰り返しておられました。
約1年前からは医師の強い勧めで一般就労を諦め、障害者雇用としてわずかな給与で単純作業に従事しておられました。

 

受任してから申請までに行ったこと

障害認定日時点のクリニックと、現在通院中のクリニックの両方で診断書を作成してもらったところ、両方とも間違いなく2級で認められる内容でした。

診断書の内容に問題が無くても、一般就労出てきている場合はなかなか2級に認められないことが多いのですが、この方は障害認定日時点は無職でしたし、現在も障害者雇用での就労でしたので、その点も問題ないと判断して申請まで進めました。

ところがその約4か月後に、障害認定日も現時点も3級で決定した旨の通知が年金機構から届きました。


明らかに不当な審査結果でしたので、直ぐに審査請求の手続きを行いました。

また同時に、前回と全く同じ内容の診断書を医師にお書きいただき、同時に現時点の障害状態の等級変更を求める額改定請求も行いました。
(元々問題が無い内容でしたので、こちらは直ぐに認められ2級に変更されました)

その約6か月後に審査請求の結果が届いたのですが、残念ながら決定は覆りませんでした。
決定書には、審査結果が正しい理由として、要約すると次のようなことが書かれていました。

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1.障害認定日時点が3級である理由
 この方は症が認定日時点では無職だったものの、その数か月前にごく短期間の就労
 を2回繰り返していたため、就労できる能力があると判断して2級には当たらないとした。

2.現時点の等級も3級である理由
 障害認定日時点の請求が主位的であり、現時点の請求は予備的なものであるから、主位的
 請求である障害認定日時点を3級と決定した以上、予備的な現時点の審査を行う必要は無い。
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1は要するに、「直前まで短期間の就労を2回もできるほどだったのだから、元気だったんでしょ?」と、2級に認めない理由を無理やりこじつけたのです。

この方は本来就労できる状態ではなかったのに、家族を養う必要があったため無理して就職するものの、直ぐに出社できなくなることを繰り返しておられたので、あまりに実態とかけ離れた解釈でした。


2は非常にわかりづらいのですが、実は審査担当者や社会保険審査官が数年前からよく使うようになった解釈です。

障害年金制度として、障害認定日から1年以上経過して申請する場合は、障害認定日時点のものだけでなく、現時点の診断書も提出をしなければならない決まりになっています。

障害認定日時点まで遡っての審査を希望する場合は、障害認定日時点と現時点の両方の診断書が必要です。(但し障害認定日から1年経過していなければ、障害認定日時点1枚だけで大丈夫です)

現時点の診断書も提出を求められるのですから、当然に現時点の障害状態も審査してもらえると考えるのが普通なのですが、実は、提出は義務付けても、それに基づいて現時点の障害状態も審査しないといけない決まりはないのです。

元審査担当者に聞いたところ、この屁理屈は平成27年に確立され、審査担当者の中では常識となっているのですが、窓口である年金事務所は認識していません。

残念ながら、こういったことがまかり通ってしまうのが障害年金制度の怖いところです。

特に注意が必要なのは、障害認定日時点は3級相当で、現時点が2級相当という場合です。
この場合、障害認定日時点だけを審査して3級とし、現時点は審査する必要がないとして3級のままとされてしまうのです。


直ぐに再審査請求を行ったところ、今度は公開審理を待たずして、等級を遡って2級に変更する旨の通知が届きました。

 

結果

結果的に、遡りの時点も含めて2級に認められたのですが、何とも理不尽な話です。

当センターでは年間200件程度の申請を行っておりますが、毎年数件はこういった理不尽な審査結果が届きます。


以前に、元審査担当者の方に以前お会いする機会があったのですが、その方の同僚の何人かは、5年遡って2級に認めることを極端に嫌うような発言をよくされていたそうです。

そういった個人的感情に基づいて審査されている訳ではないと思いますが、精神疾患のようにそもそもの認定基準が曖昧で、2級に認めないとする理由をどうとでもこじつけられてしまう傷病は、やはり注意して臨まなければなりません。

残念ながら、今回のようなケースはそれほど珍しくないのです。

 

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